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外反母趾

病態

『外反母趾』は女性9:男性1で圧倒的に女性に多く、有病率は30%ほどと言われています。ハイヒールなどの普及や疾患に対する知識が広まったことにより、厚生労働省からも外来患者数は1984年から2011年で7倍に増えていると報告されていますが、手術に取り組む施設も非常に少なくまだまだ認知されていません。10年を超えた痛みで受診される方も少なくありません。 一般的には50歳前後から痛みなどの症状をきたすことが多いですが、靴を工夫されている方などはかなり早くからいらっしゃいます。また実際には小学生にも5%ほど確認されており、中学生くらいからローファーを使用することで痛みを覚えることもあります。 下の写真のように体重をかけることで大きく足の形が変わるため、それを考慮した治療が必須です。

 

外反母趾

また長期に患っている方では『外側趾障害』と呼ばれる親指と他の指が交差するような障害をきたしている方もいらっしゃいます。この状態からの治療はどうしても複雑になってきますので極力早期の手術が望ましい方もいます。

 

保存的治療 

人間しか持たない特徴である「足のアーチ」の機能を回復することが必要です。このため足のサイズや幅に合わせた靴、テーピング、装具を指導しております。

 

手術治療

保存治療で改善されない痛みが強く、靴が履きにくい方は手術となります。また親指と他の指が交差すると増悪は年々進みますので、早期の手術をお勧めしております。
手術は症例に合わせて複数の方法で臨んでおりますが、一般的に①軽度から重度のものにはマン変法②超重度や交差してしまっている症例にはラピダス変法を行なっております。

 

➀重度外反母趾へのマン変法によるプレート固定(約1時間)

        術前                術後 

 

 

➁外側趾障害もある超重症外反母趾へのラピダス変法による髄内釘固定(約2時間30分)

        術前                術後 

 

(髄内釘使用は国内有数の使用実績です。) 

手術の効果

手術を行うことで外観的にも大きく改善します。痛みも術後4日ほどで沈静化することが多く、術後3ヶ月で多くの方は痛みなく日常生活を送られています。ただし両足同時手術や、複数指の手術、85歳を超えた方などでは経過に少し遅れがでます。

手術後の注意点

手術翌日から3週間までは踵歩行、以後は徐々に通常歩行に戻していきます。単純な手術の場合には1週間ほど、複数指などの複雑な手術の場合には3週間ほどの入院をお勧めさせていただいております。足は汗を非常にかきやすく、汚れやすいため、感染を予防するためにも創部が安定するまで安静と経過観察が必要です。骨癒合が得られるまでの期間(約3ヶ月)は、月1回もしくは2回の外来受診をお願いしています。
また足の手術を行うことで血液を戻すポンプ機能が一時故障します。手術後2ヶ月まではむくみが続きますので、接客業などの立ち仕事への復帰は2ヶ月が目安となります。
親指と他の指が交差するような障害をきたしている方には早期の手術をお勧めさせていただいております。これは重症になればなるほど足の形状は複雑となり、症状の一部が残りやすいためとご理解ください。